PSPのビジネスモデルと今度の戦略(長文)

PSPの解体記事は少し時間がかかりそう(写真の編集に時間がかかってる)ため、昨日コメントに書いたビジネスモデル関連のお話を。一応カテゴリは「STUDY(検証・考察)」となってますが多分に私見が入ってます。私個人としては正しいと思ってますが他の方から見ると事実と反している、と感じる個所もあるかも知れません。そんな時は是非コメントに意見・反論を書いて下さい。そうして頂けると私も見識が広がって嬉しいです。

前置きが長くなりました。
まず私の考えの前提はこうです。「PSPは売れることを前提にしたビジネスモデルを採用している」。理由の一つ目はUMDという独自規格とハリウッドです。PSPはUMDのコンテンツがそろってこないと魅力が欠けることになります。現在は無理矢理動画をコンバータで変換してメモリスティックに入れて見るような状況ですが、このようなコアな使い方をしてくれる人はごく僅かでしょう。最終的にはハリウッドにUMDでの映画供給をしてもらう必要がありますが、ハリウッド側にメリットを感じてもらうにはUMDが普及するしかありません。UMDが普及するためにはPSPが普及するしかないワケです。これは既に多くの方が述べられているので知ってる人も多いと思います。「ゲームで立ち上げ→爆発的に普及→ハリウッドが映画供給→さらに加速度的に普及」というのがSCEのシナリオだったのです。
理由の二つ目は価格設定です。PSPを分解して改めて思いましたが、適正価格という意味ではPSPはやはり最低でも(本体だけで)2.7万円以上で売るべきでしょう。バリューパックで3万円、とかね。いくらバリューパックばかりを流通させて実質的な値段を2.6万円にしたところで赤字は赤字。このハードを赤字で売るビジネスモデルは任天堂がファミコンで始めたものだったと思いますが、このビジネスモデルには大きな前提があります。それは「そのハードを市場で独占状態にする」です。これが達成できてこそ、その後のソフトの売上げやロイヤリティビジネスによって赤字を回収できるのであって、市場を独占できないゲーム機で取るべきモデルではないですよね。逆に言うとSCEはこの赤字販売のビジネスモデルを採用した以上、市場を独占する必要がある(PSPが売れまくる必要がある)ということです。
理由の三つ目は半導体です。半導体ビジネスは基本的には規模のビジネスです。規模が大きければ大きい程儲かるという単純な構図。大量投資して大量生産して初めて儲かる。ソニーは既に半導体工場に多大な投資をしているので、大量生産しないことには投資を回収できません。半導体工場を操業していくためにもPSP(やCELLプロセッサもそうですね)を大量に作る必要があるワケです(大量に作って売ることさえできれば後は莫大な利益が待ってます)。

さて現状を見てみましょう。PSPは現在あまり売れていません。原因はハッキリしていて「供給(PSP本体)が足りていない」のひと言に尽きます。予想ですが年内でのPSP売上げ台数は35万台ぐらいではないでしょうか?各種報道を見る限り当初公言していた「年内50万台出荷」は達成できていない可能性が高いです。それに対してNDSは順調に売上げ台数を伸ばしています。ここへ来て多少売り切れを起こす店が出てきているようですが、クリスマス商戦に上手くのってほぼ需要を満たしている状況です。NDSの年内売上げ台数は120万台ぐらいでしょうか。年末時点で既にPSPに3倍以上の差をつけることになりそうです。
この状況は果たしてSCEが予期(もしくは意図)していたものでしょうか?一部の報道では「PS2の時のようにワザと生産台数を制限してマスコミをあおっている可能性アリ」と言われていますが、戦略的に生産台数を減らしたのかトラブルで増やせないのかは兎も角、販売台数に大きな差がついたのは誤算だったのではないでしょうか。
上で長々と書いてきたようにPSPのビジネスモデルは販売台数が増えないと破綻します。NDSと仲良く市場を分け合ったりニッチ市場になってしまうようでは失敗なのです。しかしNDSとPSPでは現状を見る限り生産能力に大きな差がついているようです。北米+日本で30~35万台/週を出荷できているように見えるNDS(月産120~140万台ぐらい)に対して日本だけで8~12万台/週程度の様子のPSP(月産32~48万台ぐらい)。このため例え今後NDSの売上げが急に失速したとしてもこのままの生産ペースだとPSPは全て売れたと仮定して来年2月末まではNDSの販売台数を抜けない計算になります(海外販売なんてとんでもないことです)。今後半年間程度の短期的戦略としてSCEが取れる戦略は、NDSが失速することを願いながら増産体制を急ぐ以外に無いのではないでしょうか。しかしこの戦略も抜本的な対策(不良率低減やコスト削減)が伴わなければ傷口(悪評や赤字)がさらに広がることになります。「抜本対策をしながら増産」という非常に難しい試練を乗り越えられるか、さらに乗り越えられたとしてもNDSが失速してくれる、という自分ではどうしようもない要因も伴って初めてPSPは当初の戦略(バカ売れ)に乗ることができるのです。これはかなり険しい道のりですね。ただNDSにも不安が無いワケではありません。同時発売で12タイトルが出たものの、それ以降の弾(ソフト)が揃ってません。「アナザー」と「メテオス」が私個人にとってのキラータイトルになりそうですけど、ハードを牽引するほどのソフトになるかと言われるとどうも。早く(できれば来年夏までに)「FF3」か「ポケモン」を出す(そしてその発表は春までに行う)ことが出来ればPSPへの大きな牽制球になるでしょう。アトはピクトチャットがどのぐらい効果を発揮するかですね。学校や塾でピクチャが流行れば、それがハードを牽引する可能性はありますね。

早速追記:
Nintendogsを忘れてました。これ、キラーになります。2005/春の予定ですし、このソフトはハードを牽引する力を持っているでしょう。
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by nintendods | 2004-12-29 12:20 | STUDY
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